2023年5月15日
企業価値創造経営の本質(第40回)
事業ポートフォリオ・マネジメントについて
考える(第12回)
手島 直樹
小樽商科大学大学院 商学研究科 教授
2022年11月に経済産業省が「公正な買収の在り方に関する研究会」を立ち上げ、2023年3月に指針の原案を公開した。主な論点は、敵対的買収と買収防衛策となっているが、今回の連載では買収防衛策(事前警告型)に関して考えてみたい。
買収防衛策のトレンド
買収防衛策保有企業は、株式持合いの解消などの経営環境の変化や敵対的買収に対する関心の高まりなどを受けて、2005年頃から大きく増加した。2008年にピークとなる570社に達したが、それ以降は世界的な金融危機の影響もあり、敵対的買収が減少したことなどにより減少傾向に転じている。そして、2017年のスチュワードシップコードの改訂により議決権行使の個別開示が導入されると減少トレンドが加速し、2022年には買収防衛策保有企業は266社となった。
2023年5月15日