2019年7月1日
Pensions & Benefits
management
人生100年時代のベネフィット戦略
第1回 変わりゆく福利厚生制度の位置づけ
北野 信太郎
マーサージャパン株式会社
グローバルクライアントマネージャー プリンシパル
この原稿を書くに当たって、筆者が長年抱いていた、福利厚生制度に関する一つの疑問が氷解した。それは「福利厚生制度=従業員ベネフィット制度か?」という疑問である。福利厚生制度は一般に英語で「employee benefit」等と訳される。海外の人事の世界では「C&B(Compensation and Benefit)」という名称や、それらを総じて「Total Reward」という名称が存在する。しかし、筆者にとっては、ここでいうBenefitと、日本で一般に理解されている「福利厚生制度」から受ける印象が一致しないのだ。これは単に翻訳がイマイチということなのだろうか?
三省堂の大辞林を引いてみる。
「福利厚生:企業が従業員とその家族の福利を充実させるために設けた制度や施設。保険・住宅・教育などに支出する賃金以外の諸給付や、社員寮・住宅、保養施設などの福利厚生施設がある。」
とある。ああ、なるほど、賃金以外の諸給付、とあるので、Compensation and Benefitのイメージに合致するのではないだろうか? では、何が違和感の正体なのだろうか。
2019年7月1日