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CFOFORUM

2014年10月15日 

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リーガル・マネジメント連載によせて

 CFOにとって、法務(リーガル)は必ずしも得意分野でないように思える。それは、法務が文字の世界であり、ある種の曖昧さがあることが、(見積もりやレンジがあるとは言え)数値で物事を正確に測る財務の専門家の肌に合わないからかも知れない。
 しかし、CFOがその職務を全うする上では、法務問題をまったく避けて通ることもできない。例えば、財務諸表・計算書類はそれぞれ金融商品取引法・会社法に根拠があり、その対応を間違えると、企業としても役員個人としても非常に厳しい法的責任(および社会的責任)を負うこととなるし、ファイナンス・M&Aといった案件についても、法令の定めるルール・スケジュールに従って行う必要がある。また、企業としていかに優れた業績を残しても、労務問題、贈賄や個人情報漏えいなど重要なコンプライアンス違反を犯せば、(CFOが責任を負うべき)内部統制の有効性が疑われることとなるし、最悪のケースでは企業の存続自体が危ぶまれるおそれもある。
 したがって、CFOとして、法務の「勘所」は適切に押さえておく必要はあり、それがこの「リーガル・マネジメント」の連載の目的である。
 「リーガル・マネジメント」では、資本市場規制、会社法、独禁法・贈賄規制、労務、税務、M&Aといった企業法務のニーズが特に高い分野について、それぞれの経験が豊富な森・濱田松本法律事務所所属のパートナーが解説する。既存の法務記事と異なり、規制の細部には立ち入らず、正確性よりも分かりやすさを優先し、CFOが理解すべきポイントを端的に解説するとともに、実務の経験やそれに基づく所感めいたものも、可能な限りで伝えていきたい。

森・濱田松本法律事務所
パートナー 鈴木 克昌

資本市場規制

鈴木 克昌

弁護士
森・濱田松本法律事務所 パートナー
[ご連絡先]
TEL:03-6212-8327
E-MAIL:katsumasa.suzuki@mhmjapan.com

資本市場規制の全体像

 CFOの役割の一つは、資本市場との対話である。企業の経営方針、事業内容、財務状況を投資者に正しく理解させ、適正な株価を形成する(その結果将来の資金調達を有利な条件で行うことができる)とともに、投資者が企業をどのように評価しているのかを認識し、事業再編や株主還元策等の経営施策・財務施策に取り組んでいくこととなる。

 資本市場を取り巻くルールは、基本的に金融商品取引法(「金商法」)に定められている。(1) 金商法は複雑な構成と多数の条文を有する、ビジネスローの中でも最も難解な法令の一つであるが、CFOとしては個別の詳細な条文よりも基本的な考え方を抑えておくことが重要である。

 本稿では、CFOの業務と最も密接に関連する、企業内容の開示規制およびインサイダー取引規制について説明する(2)

開示規制

規制の概要

 金商法は、企業内容の開示について、継続開示と発行開示の二つの制度を設けている。継続開示は、上場企業等が継続的に開示義務を負う制度であり、有価証券報告書、四半期報告書、内部統制報告書および臨時報告書が開示書類となる。発行開示は、有価証券の募集または売出しに要求されるもので、有価証券届出書(または発行登録書)の提出と目論見書の作成・交付とからなる (3)

 これらの法定開示書類の重要な事項について、虚偽記載がある場合には刑事責任および行政責任の対象となり、虚偽記載またはミスリーディングな記載がある場合には民事責任(損害賠償責任)の対象となる。

2014年10月15日

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