パラダイムシフト
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人材資本主義の新潮流
第20回 人的資本経営において重要性が高まる「ナラティブ」 CHRO FORUM2013年に、ロバート・シラーが「ナラティブ経済学」という経済理論でノーベル経済学賞を受賞した。ナラティブ(Narrative)とは、ある社会現象についての説明や正当化を行うための「物語」のことで、ナラティブ経済学とは、人々の関心を惹く「物語」が時代を通じて変化し、経済的な結果に影響を与えることを実証する学問分野である。「物語」を意味する英語にストーリー(Story)という言葉もあり、企業経営において、日本ではストーリーという言葉がよく使われるが、海外ではナラティブの方がよく使われている。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年11月1日
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第19回 中堅企業元年 CHRO FORUM2024年1月26日に召集された第213回国会で、従業員2,000人以下で中小企業に当てはまらない企業を「中堅企業」と新たに区分して、重点支援するための改正産業競争力強化法が、2024年5月31日に可決、成立し、2024年6月7日に法律第45号として公布された。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年9月2日
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第18回 日本の人的資本経営に関連する政策の全体像 CHRO FORUM人的資本経営に加え、健康経営®(「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標)、ウェルビーイング経営、パーパス経営、サステナビリティ経営など「〇〇経営」という言葉が増えている。更に、企業経営の変革を推進するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)などの言葉も広く使われている。そして、「〇〇経営」や「〇〇トランスフォーメーション」などを推進するためのさまざまな政策を、日本政府が実施している。ただ、それぞれの政策は中央官庁の異なる部門で策定されており、その全体像は意外に整理されていないため、本稿では、〇〇経営や〇〇トランスフォーメーションなど、人的資本経営に関連する政策の全体像をまとめてみる。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年7月1日
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第17回 サステナビリティ・トランスフォーメーション CHRO FORUM2023年2月に、経済産業省と株式会社東京証券取引所が、「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(「SX銘柄」)」の創設を発表した*1。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年5月7日
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第16回 日本企業の無形資産価値 CHRO FORUM世界的な産業構造の変化とともに、企業価値に占める無形資産の割合が高い企業が増えている。上場企業にとっては、PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)が1倍の場合「企業価値=(有形)純資産」となり、1倍を超えると「企業価値=(有形)純資産+無形資産」となるため、PBRが1倍を大きく超えている企業が世界で増えているということである。オーシャントモ社の報告によると、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している株価指数である「S&P 500」の構成銘柄である米国上場企業500社の企業価値に占める無形資産の割合は、1975年に17%であったのが、年々高まり、2020年には90%まで上がっている*1。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年3月1日
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第15回 同一労働同一賃金の実現に向けての最新動向 CHRO FORUM2023年5月に、EU(European Union:欧州連合)で男女間賃金格差透明化指令(Pay Transparency Directive)が成立した*1。EU法は、一次法(Primary Legislation)、二次法(Secondary Legislation)、判例(Case-Law)の3つに分けることができる。一次法は、EUの基本条約を指し、二次法は一次法である基本条約を根拠に制定される法令で、規則(Regulation)、指令(Directive)、決定(Decision)、勧告(Recommendation)、意見(Opinion)があり、EUの男女間賃金格差透明化指令は二次法の中の指令に当たる。・・・(続きを読む)
掲載日:2024年1月10日
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第14回 サステナビリティ報告における人的資本報告基準開発の最新動向 CHRO FORUM2023年6月26日に、ISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)が最初の2つのIFRSサステナビリティ開示基準を公表した。IFRSはInternational Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)の略である。ISSBは、2021年11月にIFRS財団の中に設立された審議会であり、世界で乱立していたサステナビリティ開示基準を開発する複数の団体、具体的には、IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告評議会)とSASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)が統合されたVRF(Value Reporting Foundation:価値報告財団)とCDSB(Climate Disclosure Standards Board:気候変動開示基準審議会)がISSBに統合された。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年11月1日
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第13回 スキルのデジタル証明の広がり CHRO FORUM人的資本経営の実践においてスキルマップ活用が活発化しているが、それとともに、スキルのデジタル証明の活用が急速に広がっている。特に、1EdTech® Consortiumが策定した国際標準である「オープンバッジ」の活用が世界で広がっている。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年9月1日
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第12回 スキルマップ活用の広がり CHRO FORUM人的資本経営を実践するに当たり、社内にスキルマップを作って活用する企業が増えてきた。筆者が審査委員長を務める「HRテクノロジー大賞」でもこの数年スキルマップを活用した企業の受賞が増えている。以下に、その受賞例を記す。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年7月3日
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第11回 イノベーティブな組織づくりに求められるπ(パイ)型人材育成 CHRO FORUMイノベーティブな組織づくりが人的資本経営の重要課題になっている企業が多く、投資家からみても新たな事業を生み出し続けられるイノベーティブな企業かどうかは投資判断の重要なポイントにもなっている。本稿では、筆者の経験を元に、イノベーティブな組織づくりのためのπ(パイ)型人材育成の重要性について記す。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年5月8日
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第10回 イノベーション・マネジメントシステム CHRO FORUM企業が営む事業は大きく既存事業と新規事業に分けられる。現在、世界中で第四次産業革命が進行していることや、多くの既存事業の市場が成熟または衰退していることもあり、新規事業を創造して事業ポートフォリオをどう変革していくかが大きな経営課題となっている企業が多い。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年3月1日
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第9回 “企業は人なり”を再考しよう CHRO FORUM経済産業省経済産業政策局産業人材課が、2020年1月17日に「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」を開始し、6回の会合を経て、研究会の成果を2020年9月30日に「人材版伊藤レポート」として発表した。・・・(続きを読む)
掲載日:2023年1月10日
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第8回 人的資本可視化指針 CHRO FORUM2022年2月1日に内閣官房で「非財務情報可視化研究会」が始まり、6月20日まで6回の研究会の開催を経て、8月30日に「人的資本可視化指針」が公表された。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年11月1日
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第7回 ニューノーマルな働き方 CHRO FORUM筆者は、2012年より、民間企業から研究資金を集めて経営学の受託・共同研究を行っている。産学連携の経営学版である。本稿ではその直近の研究成果の一部を紹介する。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年9月1日
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第6回 増加する人的資本報告書 CHRO FORUM人的資本開示の政策が各国・地域で検討されていることに相まって、人的資本報告をする企業が増えてきた。統合報告書やサステナビリティレポートの中で人的資本報告をする企業が多いが、昨今は、世界的に、統合報告書やサステナビリティレポートとは別に人的資本報告書を公開する企業が増えている。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年7月1日
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第5回 COVID-19で重要性が押し上がったウェルビーイング CHRO FORUM人的資本経営を進める上で重要なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として、第3回ではコグニティブダイバーシティ、第4回では従業員エンゲージメントを取り上げた。第5回ではCOVID-19(Coronavirus Disease 2019)で重要性が押し上がったウェルビーイングを取り上げる。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年5月2日
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第4回 人的資本経営の重要KPIとしての従業員エンゲージメント CHRO FORUM2017年3月28日に「働き方改革実行計画」が働き方改革実現会議決定されたが、これは労働政策としては重要な政策だが産業政策としては不十分であるとのことから、経済産業省は「働き方改革 第2章」と称して、2017年4月より産業政策としての産業人材政策を強化している。図表1に2017年度以降の経済産業省の産業人材政策検討のアクションの推移を示す。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年3月1日
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第3回 イノベーティブな組織作りに重要なコグニティブダイバーシティ CHRO FORUM企業報告の基準を開発するVRF(Value Reporting Foundation)が、2019年9月に「Human Capital Project(人材資本プロジェクト)」を開始し、人材資本の開示基準の研究をしている*1。VRFは2021年6月にIIRC(International Integrated Reporting Council)とSASB(Sustainability Accounting Standards Board)が統合されてできた団体であるが、2021年11月3日に、IFRS(International Financial Reporting Standards)およびCDSB(Climate Disclosure Standards Board)と2022年6月に統合されることが発表された。・・・(続きを読む)
掲載日:2022年1月14日
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第2回 人材資本開示の政策動向 CHRO FORUM2018年12月にISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)から出版されたISO 30414(Guidelines for internal and external human capital reporting:内部・外部への人材資本レポーティングのガイドライン)がさまざまな国の政策に影響を与えている。ISO 30414の出版を受けて、米国では、2020年2月21日に、連邦議会の第116議会(2019年1月3日~2021年1月3日)に「Workforce Investment Disclosure Act of 2020」という人材投資に関する開示の法案が提出された。・・・(続きを読む)
掲載日:2021年11月1日
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第1回 金融資本主義から人材資本主義へ CHRO FORUM2008年9月15日にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発し、日本では通称「リーマンショック」と呼ばれる連鎖的に発生した世界規模の金融危機により、Financial capitalism(金融資本主義)が世界中で批判された。・・・(続きを読む)
掲載日:2021年9月1日