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2021年11月16日 

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 最初に簡単な自己紹介をさせていただく。

 私は1987年、当時のソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)に入社し、財務部に配属されて海外経験を多く積んだ。帰国後、ソニー銀行株式会社の立ち上げや、現在のソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の経営に長く携わったのち、2013年にソニー本社に復帰。主に経営企画、財務、新規事業創出を担当した。2014年からソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社社長として構造改革などを推進し、2017年、再びソニー本社に復帰後、まずCSOとして中期経営計画を担当し、2018年からはCFOを務めている。

 ソニーでは過去約9年にわたり、選択と集中、事業ポートフォリオの見直し、リカーリングビジネスの強化といった改革を進めてきた。この4月には、グループ本社機能を担うソニーグループ株式会社を発足させ、新たな経営機構に移行したばかりだ。本日は、この9年間の歩みを振り返りつつ、今後のさらなる進化・成長に向けた展望、価値創出の考え方や課題についてご報告したい。

グループの現状と重視する経営指標

 ソニーグループの事業領域は、エンタテインメント、エレクトロニクス、金融といった幅広い分野をカバーする。事業セグメントとしては、①ゲーム&ネットワークサービス事業(G&NS:PlayStation[PS]など)、②音楽事業(音楽制作、音楽出版、ストリーミングなど)、③映画事業(映画・テレビ番組の制作など)、④エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業(EP&S:テレビ、オーディオ、カメラ、スマートフォンなど)、⑤イメージング&センシング・ソリューション事業(I&SS:イメージセンサーなど)、⑥金融事業(生命保険、銀行、損害保険、ライフケアサービスなど)の6つに分けられる。2020年度の連結業績に占める割合は、売上高9兆円のうち、エンタテインメント(①~③)が4.4兆円(約49%)で半分近くに達し、祖業のコンシューマーエレクトロニクス(④)は約21%。以下、金融(⑥)約19%、半導体等(⑤)約11%となる。営業利益約9,700億円に占める割合は、エンタテインメント約58%(うち、ゲーム等(①)約32%、音楽(②)約18%、映画(③)約8%)に対し、金融(⑥)約16%、半導体等(⑤)約14%、エレクトロニクス(④)約13%。売上・利益ともに、エンタテインメント事業の存在感が非常に高くなっている。

 株式時価総額は今年9月3日の終値ベースで15.0兆円だが、アナリストコンセンサスによるSOTP(Sum of the Parts)分析を行うと、①~⑤の事業評価額を合算した企業価値(EV;Enterprise Value)は16.3兆円。これにネットキャッシュ/デット、金融事業(⑥)の評価額、保有有価証券などを加えた株式価値(EQV;Equity Value)は19.6兆円で、時価総額との間に24%のギャップがある。ある程度のギャップの存在は問題ないものの、それがあまりに大きい場合は、マーケットから見た私たちの価値と、私たち自身の意識する価値が食い違ってきたことを意味する。そこで私はこの数値を折に触れて参照し、経営課題の把握に努めている。

 事業セグメントごとのEV / EBITDA倍率(EBITDAマルチプル)も、類似会社比較(Comps)などの観点から有用だ。音楽事業(②)のマルチプルがなかでも高く、今年9月の時点で18倍以上。以下、映画事業(③)とゲーム等(①)、半導体等(⑤)、エレクトロニクス(④)が続く。これらの数値は市場の将来性を反映しており、一般にマルチプルが高い市場ほど、業界全体の成長余力があると考えられる。

2021年11月16日

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