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瀕死の病人の水虫を治療すべきか

森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長

 医療には哲学的難問がつきまとう。例えば、生命の維持が医療の目的ならば、いかに苦痛を伴っても最後の最後まで可能な限りの手を尽くすべきだが、それでは生命を維持する目的に反することにならないのか。目的は、より大きな目的に拘束されるとしたら、瀕死の病人の水虫の治療は、医療の目的を喪失してはいないか。このように、目的の連鎖の先に究極の目的を考えることは、医療を超えてどこでも常に難問を惹起する。

 そもそも、人生の目的の連鎖をたどっていくと、最後は死になる。英語のendは、目的の意味でも使われるが、究極の目的は死なのであるから、事前に目的の連鎖をたどることはできず、行為は端的に行為自体を目的としてなされ、そこに価値が創出されれば、事後的に望ましい結果の連鎖が生じると考えるほかないのである。それが人生である。

 故に、医師が末期の患者に水虫を発見してしまったとき、医学の現段階の水準において、極めて短期間に死亡することが確実だというのなら、治療に合理性はないのだが、末期の判定ができなければ、治療の合理性を考えることなく、端的に水虫の治療を行うほかないのである。それが医療である。

2020年12月15日

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