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魚を盗る猫は鼠を捕る猫より優秀だ

森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長

 大槻文彦の「言海」は、明治から昭和の初めまで広く利用された当時の代表的な国語辞典だが、その「猫」の項を引くと、「人家二畜フ小サキ獸、人ノ知ル所ナリ、温柔ニシテ馴レ易ク、又能ク鼠ヲ捕ラフレバ畜フ、然レドモ竊盗ノ性アリ、形、虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ、性、睡リヲ好ミ、寒ヲ畏ル」などと記述されてある。

 そして、芥川龍之介は、「澄江堂雑記」に、この「言海」の猫の説明をとりあげ、猫に窃盗の性があるというのならば、「犬は風俗壊乱の性あり、燕は家宅侵入の性あり、蛇は脅迫の性あり、蝶は浮浪の性あり、鮫は殺人の性ありと云っても差支えない道理であろう」として、「大槻文彦先生は少なくとも鳥獣魚貝に対する誹毀の性を備えた老学者である」と書いたのであった。

猫との雇用契約

 大槻文彦の猫の説明は、冒頭に「人家二畜フ小サキ獣」という定義があって、最初から猫を人間社会の文脈のなかで捉えている。猫を人間と同じ社会的存在に位置付けるからこそ、窃盗が問題になるのである。人間の伴侶として一定の行為期待があるからこそ、動物としての猫の自然な食物獲得活動が窃盗になるということである。

2019年12月16日

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