2023年12月1日
エッセンシャルズ
内部通報を巡る企業の体制整備と従業員の意識
松田 千恵子
東京都立大学大学院経営学研究科教授
最近、内部通報が話題に上ることが多い。件数自体も増えており、前年度の3,174件に対し、今年度は4月から9月までの半年で1,602件となっている(消費者庁)。特に8月は343件と例月から急増したという。この背景にビックモーターの件があるのはほぼ確実だろうが、それ以外にもタムロンの歴代2社長による計1億6,000万円超の私的流用が内部通報により発覚したり、ジャニーズ問題においても内部通報制度の改革が求められるなど、企業の「闇」が暴かれるとともに、その手段としての内部通報も注目されるようになってきた。そもそも、企業における不正発覚経路のトップは内部通報である(図表1)。
2023年12月1日