2024年9月17日
企業価値創造経営の本質(第48回)
事業ポートフォリオ・マネジメントについて
考える(第20回)
手島 直樹
小樽商科大学大学院 商学研究科 教授
今回の連載から、事業売却が企業価値を向上させる要因に関して詳しく見ていきたい。
事業売却は売り手と買い手の企業価値を創造する
事業売却がM&Aと異なるのは、売り手だけでなく買い手も企業価値を創造する可能性が高いことだ。売り手が企業価値を創造するのは、M&Aであれ事業売却であれ、買い手が支払う買収プレミアムが主な要因であるが、なぜ事業売却では買い手も企業価値を創造するのか。これには、M&Aに関する連載記事において取り上げた要因が関連している。それは、ターゲットが小規模であり、非上場であることだ。当然のことながら、事業は企業全体と比較すれば小規模であり、また非上場でもある。よって、流動性が低く、買収価格も低水準となり、高値づかみのリスクを低く抑えられる。
では、売り手は事業売却からどのように企業価値を創造するのだろうか。もちろん、買収プレミアムが一因ではあるが、主に3つの要因がある。本連載ではそのうちの1つの要因を取り上げる。
2024年9月17日