2023年9月15日
映画産業は滅亡に向かうのか
──この夏の日米のヒット映画で考える
久原 正治
久留米大学理事
昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員
経営学博士
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『君たちはどう生きるか』
2023年7月14日
監督・脚本・制作: 宮崎駿
製作会社: スタジオジブリ
配給:東宝
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『バービー』
2023年7月21日(米国)、8月11日(日本)
大ヒット上映中
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
主演・製作:マーゴット・ロビー
製作会社:マテル・フィルムズ他
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.※公開情報は、2023年9月15日現在の情報です。
100年を超す歴史のハリウッド中心の映画産業は危機に瀕している。
ハリウッドの大手スタジオは、20世紀フォックスがディズニーに、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーがAmazonに、コロンビアピクチャーズがソニーの傘下に下ったように、そのすべてが大手エンタテイメント企業の一部となり、映画人ではなくウォール街の株主がその生殺与奪の権利を握っている。投資家を喜ばせるために、当たりはずれの多い作家性の強い作品ではなくヒットが確実なシリーズ物のスーパーヒーロー大作映画が主流となり、コロナ禍で劇場公開より動画配信サービスに力が入っている。CGや生成AIの発達は、映画産業を演技や脚本の出来よりも壮大な仮想世界の創造やコストの削減を重視する方向に向かわせているようにも見える。
2023年9月15日