2023年9月15日
企業価値創造経営の本質(第42回)
事業ポートフォリオ・マネジメントについて
考える(第14回)
手島 直樹
小樽商科大学大学院 商学研究科 教授
ここ数回の連載では、スピンオフなどの最新トレンドを取り上げてきたが、今連載から再度、M&Aの理論について考えていく。
M&Aの成否を左右する3つの要因
M&Aの主な成功の要因としては、経験、買収先の規模、そして、既存事業との関連性の3つが挙げられる。まず、経験について、M&Aが上達するには回数をこなすことに尽きる。M&Aの頻度とM&A以降の1年間のTSRの関係を分析した調査によると、TSRとM&A成功率の平均値を引き下げているのは、M&Aの頻度が低い「ビギナー」である。一方で、M&Aを経営戦略の一環として高頻度に実施する企業は、M&A後のTSRも「ビギナー」を大幅に上回っており、M&A成功率も高水準だ。結局、経験からM&Aのツボを理解でき、組織としてのM&A能力が向上することになるのだ。
2023年9月15日