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2018年2月20日 

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HRテクノロジーと見える化する“ヒトという資本”

 人事の世界で、テクノロジー活用が急速に広がり始めている。人事にテクノロジーが活用されるようになると、コストや売上面で今まで“見えなかったもの”が“数値化”できるようになる。CFOの方々は通常、資本を調達して最適な利益を出すためのマネジメントに注力されていることと思うが、人材(ヒューマン)も資本(キャピタル)と考えて、いかに利益に結びつけるか(マネジメント)をCFOが考えていく。そうした世界的な動きがある。ヒューマンリソースと他の経営資源とのマネジメントの違いは、“ヒト”という“見えない資本”を、いかにして“見えない資産”にしてリターンに結びつけるかというワンステップが入るところであろうと思う。

 世の中の動き全体に目を向ければ、社会や産業はグローバルに変化している。社会変化の観点では、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな超スマート社会Society 5.0を日本政府は推進中だ。産業変化の観点では、第四次産業革命(the 4th industrial revolution)という言葉が世界中で使われている。ちなみにかつて中学校の教科書で我々が学んだ蒸気機関の発明による「産業革命」は、「第一次産業革命」と名前を付け替えている。現在、進行している第四次産業革命は、Connected Industriesと呼ばれるもので、モノとモノ、モノと人、企業と企業等、さまざまなつながりによって、新たな付加価値を創出していくというものだ。そこでは、従来、独立・対立関係にあったものが融合・変化することで新たなビジネスモデルが誕生していく。各企業において、その実感のほどはさまざまであろうが、私はいろいろな企業を拝見する中でかなりの勢いで進展している感触を得ている。

 第四次産業革命の進展を象徴する言葉に、“X-Tech(エックステック)”がある。Xの部分にさまざまな言葉が入る。ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)が融合した“FinTech”は、最もテクノロジーの活用が進んだものの一つである。ほかにも“AdTech(広告)”や“AgTech(農業)”“RoboTech(ロボット)”“SportTech(スポーツ)”、少し変わったところでは“BabyTech(赤ん坊)”と枚挙に暇がない。あらゆる領域で活用が進むテクノロジーの中に、“HRTech®”(人事へのテクノロジー活用)がある。HRテクノロジーとは、特別な難しい話ではない。企業の中では、直接部門でのテクノロジー活用は当然のこと、間接部門においてもリーガルやAccounting Financeなどでテクノロジー利用が進んでいる。同様に、人事の世界でもテクノロジー活用が進んできたということである。

 HRテクノロジーのポイントは、人が関わるさまざまなものをデータ化する点にある。人のコストや売上実績といった数値から、スキルやコンピテンシーといった定性的なものまでをデータ化して、①インプットし、②分析し、③アウトプットして経営に活かす。

 インプットデータについて言えば、かつては数値データとテキストデータ程度しかマネージしてこなかったが、今では音声、画像、映像や行動データまでもがマネージされるようになってきた。さまざまなセンサーテクノロジーでデータ取得が可能になっており、集中力を計測できる眼鏡型デバイスなども開発されている。

 分析面では、統計分析が驚くほど進化し、簡単になった。今ではノートパソコンでビッグデータが分析できるし、機械学習でベストプラクティスを学習させて提案してもらうことも極めて簡単になってきた。しかも、ウェブ上を検索すれば統計分析用の優れたフリーソフトを瞬時に手に入れることができる。「誰でもAI」という言葉があるほどに、複雑な統計手法が手軽に使えるようになっているのである。

 アウトプット面でも、ユーザーインターフェースのテクノロジーが進化している。バレーボールの日本代表の試合で、監督がタブレット片手にリアルタイムデータを見て指示を出すのをご覧になった方もいるだろう。そうしたテクノロジーによる予測やレコメンデーションといった高度な技術が、今は実に簡単に使えるようになってきた。欧米の企業では、経営者やラインのマネジャーがタブレットを持って指揮するところも見られるようになっている。

2018年2月20日

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