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2016年10月14日 

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Insight

会社の競争力を引き上げるCFOの新たな役割①
CFOはより視野を拡げた役割を担う必要がある
~新たなアセットを認識しよう~

寺川 尚人

テラ・マネジメント・デザイン株式会社 代表取締役社長
株式会社Indigo Blue 代表取締役社長

 会社を変える原動力に人事を巻き込む。経営力の強化には経営企画と人事のタイアップは避けられない。最近、いろいろな経営トップの方々と話をすると、経営の課題・テーマのほとんどの内容は人と組織に関する話題が多く、ビジネスの環境、ルールの変化が大変大きく、かつ複雑化する中、後継者問題を含め、経営の根幹を揺るがすようなテーマが山積みで、この解決に人事部門は戦略的な期待値が高いケースも見かける。一方、相変わらず旧態依然とした人事をしていて、ビジネスや経営がわからない人事というレッテルを貼られているケースも多く、残念でもある。

 これから複雑化する経営環境は、過去に答えはなく、未来の扉を切り開く人材の採用と確保と、それらを乗り越える人材の戦略的な人材開発、また、その人材を活かし鍛え上げる場(修羅場のポスト)と将来から逆算したビジネスの将来像に連動した意図的・計画的な人材戦略なくして、会社の競争力と進化はない。既に一部の日本企業においては、経営トップの右腕として重要な意思決定や経営判断のサポートをしている戦略的な人材を担っている人事部門もある。

 会社が変わるというからには、人事機能のイノベーションはマストであり、ビジネスの成功は、誰がやるか、どういう組織でやるのか、誰に任せることで会社の成長に貢献できるのか、まさにヒトと組織というテーマ抜きには議論ができない。グローバルプレーヤーの企業のいくつかは、そこにこそ成長のエンジンがあることを見抜き、膨大なお金と時間をかけ、たゆまないチャレンジをしている。すなわち、如何に優秀な人材を獲得し、その中で光る人材に投資をするかという観点で、将来の事業のチャンス作り(新規事業の開発支援)や時代にふさわしい人材作りと成果を出し続けることを経営の最大のテーマにしている会社が本当に多くなってきている。できる人材とケミストリー(相性)の良い人材を集めることは、今までの価値や気づきを超えたダイナミックなリレーション作りとなるため、その会社にいることの存在意義とお互いの刺激から価値の増大化につながる。まさにこの状態を作ることが、最大の福利厚生だと言い切っている会社もある。このことは当然の理屈で、最終的な成果や実績は人材抜きにあり得ない。だからこそ、インタンジブル(無形)なアセットであるヒトという資源にもっと目を向けるべきだし、経営トップはヒトと組織を司る人事に高い期待と要求を望むのである。これらを実現する人材が人事にいない場合、経営企画や経営戦略のキーマンを送り込み、しっかりと手を組み、お互い相互補完をすることをお勧めする。

 裏を返せば、どんなに立派なプランやシナリオを作っても、実行できるインプリプランと実行メンバーがそろっていなければ、絵に描いた餅になってしまうということである。私は、幸いにもいろいろなビジネスチャンスと人事を同時にやらせていただいた経験を持っている。今まで、多くの業態と業種(60を超えるビジネス)と経営経験(40を超える)を通じ、さまざまなビジネスの場面に遭遇してきて感じることは、組織の枠を超えて経営戦略と人事が連動するなど、ヒトに関することが如何にビジネスの成否に影響しているかということである。また、どのような組織にするかで、ビジネスが生きる、あるいはダメにもなるという事例も多く見てきた。

 CFOの戦略的なサポートと具体的なアクションがビジネス立ち上げに如何に効果的であったかも痛感している。特に、日本企業のほとんどがグローバルに戦うことが避けられない中で、今こそしっかりと意図した信念と計画で経営やビジネスに貢献し、会社をリードできる人事機能を作らないと、日本企業は競争力を失う危険があると痛感している。

 今こそ、CFOは現在の業務範囲を超えて、人事のイノベーションを社内に起こし、新たな人事(人事機能)へ脱皮させるのに絡むべきである。まだまだ間に合うし、巻き返しが可能だ。この実現のためには、このことを経営重要課題と捉え、また、ヒトと組織の責任部署の人事と戦略的に連携し、あらゆる経験を有する将来のキーマンを投入したり、発想を変えてその期待に沿えるべき人材補強と強い権限委譲の勇気とチャレンジが必要である。そのためには、経営トップと組んで、後押しすることが必要なのは言うまでもない。

 強い会社、環境に適応できる会社、競争力のある会社、勝ち続ける会社にはそれぞれ特徴がある。ただ、共通して言えることは、それを実現できる人材が確実にいて、力を発揮できる環境と仕組みが整備され、理にかなっていて、計画的に準備されていることである。

 会社の競争力はまさに人材の質と量にかかっている。これを実現できる体制を作り上げるべく、CFOは大いに関与すべきと感じる。

2016年10月14日

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