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2020年4月15日 

会社員という職業が
なくなる日のために

森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長

 靴職人は、個人として靴を作るとき、自分の労働の価値が作品に順次に化体していき、それが完成して販売され、社会の需要を満たすことで金銭価値に転換する過程のなかで、働きがいを実感できる。では、靴製造が会社化されるとき、その社員は独立した靴職人と同じ働きがいを感じ得るのか。

 理屈上は、会社として創造した価値が各社員の貢献寄与度に応じて分解され、その分解された価値に応じて社員の処遇が決められればよいが、実務的には極めて難しいことである。しかし、重要なのは分析の精度ではなく、社員が納得できるということであるから、貢献度分析の精度を上げる努力ではなく、納得性を高める努力をすればいいのである。ここで、納得性とは、市場の評価である。

納得できる対価

 靴職人は、自分の作品に対する自己評価で値をつけているのではなく、顧客の要求に合わない靴を作っても値がつかないことを知り、顧客の満足が高いほど高い値がつくことを理解していて、しかも、顧客の満足を分析測定して値をつけているわけでもなく、単に、市場において高い値がついていることから顧客の高い満足を推測して、納得して、そこに職人の働きがいを感じているのである。逆に、市場において安い値がつけば、あるいは市場において売れなければ、そこに顧客の不満足を見出し、製品の改良に励む、それもまた、職人の働きがいであろう。

2020年4月15日

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