2025年4月1日

アナリシス
SDGs経営と企業法務(23)
サイバーセキュリティ法務の重要性
─ITガバナンスにおける企業法務の役割─*1
阿部 博友
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
昨年10月、ある国内電子機器メーカーは、ランサムウェアの攻撃を受けて重大なシステム障害が生じた。ランサムウェアは、感染したコンピュータやネットワークのファイルを暗号化し、その復旧の対価として身代金を要求する。その会社の海外の拠点に送られたフィッシングメール*2の開封が疑われ、それによって第一次攻撃者による会社のシステムへの侵入を可能とし、第一次攻撃者はその情報をダークサイトで販売、それを購入した第二次攻撃者であるUnderground*3と称するランサムウェアグループが、注意深く時間をかけて会社の機密情報*4を盗むと共に、会社のシステムを暗号化して回復不能な状態に陥れた可能性がある。 会社は攻撃者の身代金支払い要求*5には応じなかったので、第二次攻撃者は盗んだ情報をダークサイトで公開した。
2025年4月1日