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2021年10月1日 

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アナリシス

SDGs経営と企業法務(2)
─米国税関による人権侵害製品の輸入差止め─

阿部 博友

名古屋商科大学ビジネススクール教授

 米国税関は日本企業が人権侵害の強制労働による製品を米国に輸入しようとしたとして、2021年1月から米国への輸入を差し止めている*1。また、2016年2月に改正された1930年関税法第307条*2は、米国税関に強制労働に依拠した製品の輸入差止めの権限を付与している*3。米国税関による違反商品保留命令件数は近年増加傾向にあるが、その直接的な要因としては2015年貿易円滑化・貿易執行法の2016年2月の改正*4や米中摩擦の激化が挙げられる。

 その根底にはSDGsに向けた人権の国際化と、それに伴う企業の社会的責任の概念の拡張がうかがわれ、企業の社会的責任を基礎とするグローバルサプライチェーン管理については投資家、消費者そして国際社会の厳しい監視が存在する事実に注意が必要である。サプライチェーン全般における人権の尊重は、もはや企業倫理の命題を超えた法的責任の問題に発展しつつある。本稿では、米国におけるビジネスと人権をめぐるビジネス環境の推移を概観することによって、人権に関わる企業法務の注意点の検討を試みる。

2021年10月1日

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