2018年4月16日
私は社会人キャリアを日本鋼管でスタートさせ、GE(ゼネラルエレクトリック)転身後、最後は日本企業でとの思いでLIXILグループに移った。キャリアの8割は人事だった。GEではアジアのシックス・シグマの責任者も務めたが、LIXILでは人事に専念した。私がいた時代、トステム、イナックス、サンウェーブ、東洋エクステリア、新日軽の5社統合とグローバル化がLIXILの大きな課題であった。
私がLIXILに入社した2012年は約1兆2,000億円の売上があった。うち海外売上は500億円。3年後には売上約1兆9,000億円のうち海外売上は約7,000億円に急伸した。約13倍に急伸した海外事業をどうするかは、一つの大きな経営課題であった。
入社当時、LIXILは「世界で1位になる」という戦略を持っていた。そこで私たちがとった行動のキーコンセプトの一つが「経営とは当たり前の実践である」だ。これは、私がGEで学んだ最も大きなことであったと思う。幸いにも私が在籍当時のGEは、ジャック・ウェルチ、ジェフリー・イメルトという希代の名経営者が率いる最強の時代にあり、非常に学びが多かった。本日は、そうしたところをお話ししたいと思う。
日本の課題
戦力の半分以上を使っていない
いま、日本企業が抱えている課題は何であろうか。働き方改革や生産性向上など、さまざまな課題があるが、根っこの部分はすべて「人」の問題に根差している。
いまここにお集りの皆さん、ご自分の周りを見回してみていただきたい。見事なまでの「おっさん軍団」である。なぜ「おっさん」がまずいか。日本の人口1億2,500万人のうち、半分しか戦力になっていないからだ。これで勝てるわけがない。最も大きな課題であるイノベーションに、「おっさん」ばかりで取り組むことができるのか。生活の中にどんどん入り込んでくる最先鋭の技術をうまく使いこなしているのは、若者たちであることは間違いない。もちろん我々「おっさん」も取り組んでいかなければならないが、若い人や女性、外国人といった多様な人材を使っていかなければグローバルで勝てるわけがないのだ。
2017年の世界経済フォーラムの発表によると、日本の女性パワーの活用は、世界144カ国中114位。2016年は111位で2015年は104位であった。政府が音頭をとって「女性活躍」を掲げてそれなりに進んでいるが、世界の進展はもっと早い。日本より劣っている30カ国のほとんどはイスラム圏で、そうでないのは116位の韓国だけである。韓国もどんどん上昇してきているので、今年(2017年)11月の発表では日本はイスラム圏を除いて最下位になるかもしれない。こんな状況で勝てるわけがない。
2018年4月16日