2018年2月15日

アメリカの2017ベストビジネス書から
地方の再生を考える
久原 正治
久留米大学理事
九州大学客員教授
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①Janesville: An American Story
Amy Goldstein
Simon & Schuster, April 2017 -
②地方創生論にみる「まち,ひと,しごと」
濱田康行・金子勇著
経済学研究、北海道大学、67巻-2号、2017年12月
①は2017年のFT&マッキンゼー ビジネス・ブック・オブ・ザ・イヤー賞受賞の、アメリカの地域経済と社会に深く切り込んだ読み応えのある本だ。
著者はピューリッツアー賞受賞のワシントン・ポストのベテラン女性記者。1919年に最初の工場を開き2008年のリーマンショックにより閉鎖するまで90年にわたりGM城下町として栄えた、ウィスコンシン州の人口6万3千人の中都市ジェーンズビルの失業労働者家族に6年間にわたり密着取材し、工場閉鎖後の労働者の生活と地域社会の変貌を描いている。ジェーンズビルはシカゴとマディソンを結ぶ高速道路沿いの古い街で、往時GMだけで4千8百人、下請けのリア社工場やその後買収され移転するパーカー・ペンの本社工場などの安定雇用先に多数の住民が親代々勤め、中産階級労働者の街として繁栄した。
2018年2月15日