2017年10月16日
エッセンシャルズ
ファイナンス人材教育の
トランスフォーメーション
―人材教育でのCFOの役割―
高原 宏
日本CFO協会主任研究委員
EY税理士法人 移転価格部 シニアアドバイザー
元武田薬品工業 コーポレートオフィサー経理部長
はじめに
45年の経理・財務部門での経験を振り返り、同部門の人材として何が必要なのか、環境変化を踏まえ今後はどう変えていけばよいのか考えてみた。
そして、最も大切なものは、公私の別といかなる局面でも基本に立ち返り意見を言える胆力であり、2番目は専門的知識・経験、3番目はコミュニケーション能力だと考えられる。この3つはいずれも必要条件であり、3つすべてを備えて十分条件を満たす。
余談だが、マネジメントの祖と言われるピーター・ドラッカーは、著書『マネジメント』の中で、マネージャーに必要な資質として、才能ではなく「真摯さ」を挙げているのは有名な話である。私が上司から指導されたのは、公私の別、例えば会社経費か個人的支出か、勤務時間内か外かなどであり、ドラッカーの言う「真摯さ」に一脈通じると感じている。また、実務の修羅場を経験し、何事にもたじろがず判断できる胆力が鍛えられたが、これは経理・財務責任者(以下「CFO」)の重責を担うには、経験として不可欠な能力だと思う。
2017年10月16日