2017年8月17日
ファイナンシャル・マネジメント
ソーシャルインパクトボンド(SIB)②
堀内 勉
多摩大学大学院 特任教授
青山学院大学大学院 客員教授
ソーシャルインパクトボンド(SIB)については、2015年から2016年にかけて、①横須賀市の養子縁組推進事業、②尼崎市の若者就労支援事業、③福岡市など7自治体の認知症予防事業の3件のパイロット事業が実施された。
①横須賀市の養子縁組推進事業
横須賀市には児童養護施設が2つしかなく、市外の施設も利用している状態であった。そこで、社会的養護を必要とする子どもに家庭環境を整備するとともに、自治体の公的コストを削減することを目指し、施設養護から家庭養護への移行を加速させるため、日本財団と横須賀市が協力して、SIBの仕組みを活用して特別養子縁組の推進事業を実施した。
②尼崎市の若者就労支援事業
尼崎市における生活保護世帯の若者を対象に就労支援事業を行い、長期的な自立を促進するため、生活保護世帯の若者約200人に対して、若者支援の認定NPO法人育て上げネットの職員が市のケースワーカーと協働でアウトリーチを行い、さまざまなプログラムを提供した。
③福岡市など7自治体の認知症予防事業
福岡市、松本市など複数の自治体と日本財団が連携して、公文教育研究会の「くもん学習療法センター」による認知機能改善実績がある学習療法を導入し、高齢者のQOL向上を図ると同時に、公的コスト削減を目指したプロジェクトを実施した。
これらのパイロット事業については、2016年10月、実証事業の成果、事業を通じて得た学びおよび今後の提言を実施者の立場からまとめた「事業報告書」と、専門家による事業の評価を行った「第三者評価報告書」の2つの報告書が公表されている。
2017年8月17日