2016年4月15日
TREASURY FORUM
サステナビリティ会計は
企業の戦略的成長に不可欠
ジェフ・トムソン
Forbes記者(ブルームバーグ配信)
筆者はこれまで、「サステナビリティ会計」を何度か取り上げ、環境経営戦略のベストセラー“Green to Gold”の共著者のアンドリュー・ウィンストン(Andrew Winston)氏、そして米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)の共同創設者兼CEOのジーン・ロジャース(Jean Rogers)氏にインタビューを行ってきた。サステナビリティ会計が企業会計・財務の分野でますます注目を集める中、パリでは現在、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催されている(記事執筆時)。今回のインタビューでは、“Business Sustainability”の筆者である米メンフィス大学のザビホラ・レザイー(Zabihollah Rezaee)教授(会計学)に、サステナビリティ会計の長期的ゴールと影響について聞いた。
──2015年初めに、SASB共同創設者でありCEOのジーン・ロジャーズ氏に、サステナビリティレポートと同レポートが経済全般と企業会計に及ぼす影響について語っていただきました。教授にうかがいますが、サステナビリティ会計基準は企業経営の強化につながりますか。つながるとすれば、その具体的な理由を説明してください。
SASBは、企業がサステナビリティパフォーマンスに関する情報をステークホルダーに開示する際のガイドラインを制定するために設立されました。サステナビリティ会計基準ガイドラインは、以下のように企業経営の強化をさまざまな方法でサポートします。
1. 企業がサステナビリティ会計の主要パフォーマンス指標の適用や、経営環境の変化・不透明性の評価を行う際、既存のリスク評価プロセス、情報開示の手続きや管理手法にSASB会計基準を組み入れることが可能です。
2. サステナビリティレポートなどの手法で、自主的な情報開示を強化できます。
3. SASB会計基準は、企業戦略や経営強化計画の改善点を見つける上でも役立ちます。
4. 長期的なステークホルダー価値の創造にとって最も重要なサステナビリティパフォーマンスに的を絞ることができます。
5. 企業価値の向上につながる財務または非財務のサステナビリティパフォーマンス指標の開示を可能にします。
6. SASB会計基準では、高いサステナビリティパフォーマンスを実現している企業は、サステナビリティ情報を開示することで、自社の強みをアピールすると同時に、業界のベストプラクティスおよびベンチマークとなり、業界全体のサステナビリティパフォーマンスの向上を促進します。
2016年4月15日