2026年6月15日
事例に学ぶデジタル活用の処方箋・二章
AI時代のERPの役割変化と本源的価値
~実行システムから自律型AI実行プラットフォームへ~
中野 浩志
SAPジャパン株式会社
早稲田大学大学院非常勤講師
日本CFO協会主任研究委員
※各図をクリックいただくと、拡大された図をご覧いただけます。
大規模言語モデル(LLM)は、議事録作成や施策検討時の壁打ち相手、プログラムコーディングなど様々な局面で私たちを強力にサポートしてくれるようになった。
しかし、LLMを含むAIは企業固有のビジネスプロセスやデータの意味合い、プロセスとデータの関係を理解しておらず、セキュリティやコンプライアンス、アクセス権限や承認ルールなどガバナンスや信頼性が十分に確保されていないことから、企業内ビジネスにおける実装と効果創出は限定的な状況にあるといえる。
財務諸表や給与計算などの業務では80%の精度では不十分であり、監査対応や説明責任を果たすことができない。
そこで改めて注目されているのが経理・購買・販売・生産などの業務を幅広くカバーし、ヒト、モノ、カネ、情報を統合管理できるERP(*1)である。
長年にわたり蓄積してきた業務プロセスとデータのドメイン知識、ガバナンス要件、業種別要件がERPに集約されている。
企業の基幹業務を動かしてきた信頼できる実行システムであるERPが「企業の頭脳」になり、その頭脳をAIエージェントが活用することで、80%の精度の壁を超えて信頼できる業務成果を実現することが期待される。
本稿では、AI時代のERPの役割と今後の方向性、およびERPを使い倒してビジネス成果に繋げる上での課題と解決の方向性について考察する。
2026年6月15日





