私は過去に三菱UFJフィナンシャルグループCFOを経験し、現在ニコンのCFOを務めている。三菱UFJとニコンは業種が全く異なるが、両社ともPBR1倍割れ企業であり、厳しく言えば企業価値破壊状態にある点は同じだ。そうした状況下で、CFOとして何を悩み、PBR1倍割れ問題にいかにチャレンジしようとしているか、あるいはチャレンジしてきたか。そうした情報を本日は共有したいと思う。

　もともと私は三菱信託銀行（現三菱UFJ信託銀行）に長く勤務していた。NISAでおなじみのeMAXISシリーズも三菱UFJ信託の子会社が作っており、企業パーソンの前半戦は投資家目線も必要とされる環境にあった。

　2004年には経営企画部副部長としてUFJとの経営統合を担当し、2007年に三菱UFJフィナンシャルグループの財務企画部長に就任した。その翌年、リーマンショックが起こり、赤字決算を余儀なくされた。さらに1.6兆円の増資、モルガン・スタンレーへの90億ドル出資などにも関与してきた。