2023年6月15日
公的年金は相互扶助なのだから
森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
人は、常に死の可能性に直面していても、自分の死の確率を知り得ない。しかし、十分に大きな人の集団においては、死は確実な事実として、どこかに生起し、その確率を計測し得る。ただし、集団のなかの誰に死が訪れるかは知り得ない。死は、集団において確実であり、個人において不確実である。
死は遺族に経済的損失をもたらすことが多いが、それに事前に備えるためには、死が不確実な個人においては、死を確実なものとして、必要額を留保しておくしかない。しかし、死が確実な集団においては、死の確率に応じて必要額を留保できる。その仕組みが相互扶助であり、相互扶助を具体化したのが生命保険の死亡保障である。確率を考慮できる相互扶助は、不確実性に対する備えとして、経済的に効率的なのである。
2023年6月15日