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2015年4月15日 

リスクファイナンス

リコールリスクの現状と望ましいリコール保険購買の考え方

安達 雅之

マーシュブローカージャパン株式会社
グローバルリスクマネジメント シニアバイスプレジデント

日本におけるリコールリスクの現状

 近年、消費者の安全意識の高まりによってリコールは全体的に増加傾向にある。企業はリコールの規模に応じた対策が求められる。一度発生したら経営の屋台骨を揺るがしかねない大規模リコールは、保険によるリスクヘッジよりは、むしろ万全な予防・危機管理対策をもって備える。保険マーケットのキャパシティと費用対効果の点でリスクを保有する企業もある。

 製造業者にとっての財務的リスクヘッジ策となり得るリコール保険は、日本では決して普及率が高いとは言えない状況だ。保険会社のリスク引受の観点から、リコールリスクのニーズの高い業種・製品を、食品飲料、自動車関連、その他の製品の3つに分類した。

 まず、食品飲料は体内に摂取されるので、品質上の問題が少しでもあればリコールとなりやすい。また、リコールの原因が自社の品質管理上の問題のみならず第三者による意図的な汚染もあり得るため、食品飲料事業者のリコール保険に対するニーズは高い。最近も食品飲料のリコール報道がいくつかあったように、決してその発生頻度は低いわけではない。問題が疑われるロットとその流通経路の特定・追跡がしやすく、比較的限られた地域に流通している等の理由により、リコールによって発生する直接的な費用は、その他の製品と比較すると高額になりにくく、比較的計算しやすいリスクの位置づけだろう。

2015年4月15日

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