2022年2月15日
冒険者は危険を冒さない
森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
大航海時代に、未知の世界へ向けて出帆した冒険者は、航海の成功を信じ、生きて港に帰ることに少しの疑念も抱かなかったに違いない。客観的には、大きな危険があったのである。しかし、いかなる危険も克服できるとの自己の能力に対する自信のもとでは、危険の存在は出帆を妨げなかったのである。
未知の世界への航海は、冒険者にとって、それ自体が目的だったのではない。巨額な経済的利潤が強い誘因として働いたのであって、そこには打算があり計算があって、予想される危険も計算されていたはずである。そして、計算の合理性は確信を強め、自信と計算が融合したとき、危険は完全に制御下におかれたものになったわけである。
2022年2月15日