2021年8月20日
グローバル・コミュニケーション
ことばと思考・暗示・行動
本名 信行
青山学院大学名誉教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会代表理事
猿橋 順子
青山学院大学教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会理事
はじめに
「十年に一度の嵐が毎年来るんだから、まったくやってられない」──外洋を航海する大型船舶の船員が思わず漏らした愚痴である。これを聞いた時、社会言語学者である私は、航海の様子や、嵐に遭遇した時の船員達の対応、そして誰にとっても重要である異常気象の問題より、この表現に耳を奪われた。……「十年に一度」が「毎年」来る?
「空のドラム缶」の暗示
言語相対性仮説、別名、サピア・ウォーフ仮説(後に詳述)を唱えたアメリカの言語学者、ベンジャミン・L・ウォーフは、彼の学問上の関心の発露が、勤務していた保険会社における業務中の気づきにあったと著書の中で記している。
2021年8月20日