2019年2月15日
グローバル・コミュニケーション
平易な日本語
本名 信行
青山学院大学名誉教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会代表理事
猿橋 順子
青山学院大学教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会理事
はじめに
前号で平易な英語について論じたが、この点は企業が発信する日本語にも応用できる。本号では、企業における平易な日本語の活用について考える。
平易な日本語の考え方
すでにさまざまな領域で、平易な日本語の考え方と、その具体案が提案されている。それらは主に、行政、学校教育、地域社会の領域で、具体的には災害、報道、医療、法律などの分野で検討されている。いずれも公共性の高い領域である。公共性の高い領域で平易な日本語が求められる根拠として、基本的人権が守られるために必要な条件となる情報保障という観点や、国際条約(たとえば、児童の権利に関する条約など)に拠るものが多かった。近年では、日本で急速に進む少子高齢化社会という観点から、外国人を広く受け入れなくてはならない、そのための環境整備をすべきだ、といった議論の流れから、「やさしい日本語」が提案されることも増えている。
公共の領域で提案されている平易な日本語の考え方や具体例は、企業活動においても大いに参考になる。法令遵守はもとより、人権についての国際的な基準や傾向を視野に入れた企業活動を展開することは、グローバル企業には当然求められる。それは、国内外から企業の担い手を確保する上でも有効である。
2019年2月15日