2023年5月8日
HR × Finance
第10回 ミドル層を全社最適な方向に動かすには
清水 孝
早稲田大学大学院会計研究科 教授
すでに指摘したように、HRと管理会計の共通とする主眼は、「戦略を実行するために人々を支援し、人々を正しく動かす」ことである。「人々が正しく動く」というのは、企業全体のために最良な意思決定を行い、その実行に向けて努力を払うということを意味する。しかし、第５回で述べたように事業部長は、自らの評価を良くするためにあえて目標を低く設定して、その達成を容易にしようとすることがしばしば見られる。これは、事業部長の評価が目標（予算）達成と結びついており、目標達成が賞与や昇進に強く影響を与えることになるからであり、ある意味ではこうした行動がとられることは当然なのかもしれない。しかし、ミドル層マネジャーの目標の合計が企業の目標に届かなければ、外部のステークホルダー、とくに株主や投資家の期待に応えることができず、株価で測定した企業価値は下落してしまうことになる。
2023年5月8日
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