事例に学ぶデジタル活用の処方箋・二章
サステナブルな企業価値向上に向けたCFOの役割

中野 浩志

SAPジャパン株式会社
早稲田大学大学院非常勤講師
一般社団法人日本CFO協会主任研究員

　市場環境が激変して不確実性が高まる状況下、持続可能性を重視した企業経営を推進する上でCFOが果たすべき役割も変化してきている。本稿では、独SAP社のグループCFOとして様々な変革をリードしてきたルカ・ムチッチ氏を招聘し、CFOに求められる新たな役割について3つの視点で自らの実体験を日系企業CFOのみなさまに共有したラウンドテーブル（2022年7月開催）の要旨を紹介する。

1. ビジネスモデル変革 ～トランスフォーメーション・エージェントとしての役割～
2. データを活用した将来予測型経営 ～ビジネスパートナーとしての役割～
3. サステナビリティ経営 ～サステナブルな企業価値向上に向けた役割～

1. ビジネスモデル変革 ～トランスフォーメーション・エージェントとしての役割～

　多くの企業で物売りからサービス型にビジネストランスフォーメーションが進む中、SAP自身も「売り切り型」から「クラウドサービス型」にビジネスモデル変革を推進しており、Covid19でそれが加速化された。