2020年6月1日
「日立の事業変革とグローバル人財戦略」についてお話させていただくにあたって、2点ご承知おきいただきたい。
一つ目は、事業について時間を割いてお話させていただく。人財戦略は、事業戦略あるいは事業の方向性に応じて変化するので、事業戦略の説明は必須だと思っている。事業の方向性があっての人財戦略なので、異なる事業戦略があれば当然、人財戦略も違ってくることを念頭に参考にしていただければと思う。二つ目は、人財戦略については、日々の実業を通じた具体的な施策を中心にご説明させていただく。それが参考になると考えるからだ。
日立の事業変革
日立製作所は1910年茨城県で機械修理工場として創業した。小平浪平が36歳のとき5人ほどで始めたベンチャー企業である。創業当時から「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念があり、「和」「誠」「開拓者精神」という創業の精神があり、これらは今も生きている。
事業概要は2018年度ベースで売上が約9兆5,000億円。セグメント別では、社会・産業システム(鉄道車両の車両や運行システム、エレベーター等のビルのシステム、電力系のシステム等)が最も大きく25%を占め、約2兆5,000億円を売り上げている。次がIT関係、情報通信システムで20%、約2兆円。その他にも、建設機械、高機能材料、自動車部品等さまざまな事業を行っており、ほとんどがBtoBビジネスである。BtoCビジネスは、生活エコシステム(いわゆる白物家電を中心とした家電製品)のみで5%約5,000億円となっている。
売上の51%は海外で北米、欧州、中国、中国以外のアジアがそれぞれ10%強でバランスしている。人員は29万5,000人のうち、海外が45%、日本が55%。おそらく2020年度には海外シフトがさらに進み、海外売上も人員も60%強が海外になるとみている。
製品ヒストリーは、5馬力のモーターから始まっている。その後、機関車、洗濯機、発電機、コンピュータ、半導体、ハードディスクドライブ、新幹線、テレビ等々、さまざまなビジネスが発展し、現状は社会イノベーションビジネス、いわゆる社会インフラ系の事業にシフトしている。
2020年6月1日