2018年7月13日
米国税制改正を受けたM&Aの税務戦略
小島 秀毅
米国公認会計士/日本CFO協会グローバルCFO
Mitsubishi International Food Ingredients, Inc.
General Manager, Corporate Planning & Administration
兼 北米三菱商事会社
はじめに
ここ数年、日本企業の多くが海外に成長の活路を見いだすべく、北米を中心にクロスボーダーM&A戦略を積極的に立案し、実行している(図1・2)。クロスボーダーM&Aは国内案件と違う観点で会計・税務等のさまざまな規制や問題が生じ、難易度が上がる。
筆者は米国駐在期間を含め、これまでM&Aのアドバイザーと事業会社双方の立場から数多くのクロスボーダーM&A案件に取り組んできたが、その中でも特に税務戦略がM&Aの行方を左右する重要なテーマのひとつであると考えている。また、税務Due Diligence(DD)で発見された潜在的な税務リスクがPMIで顕在化し、その対応に奔走するたびに税務DDの限界も感じている。
一般的に会計と比べて税務は取っ付き難いと思われており、事業会社のM&Aチームでは会計面での課題はしっかりと検討しつつも、税務面の問題になると外部の専門家に任せきりといったケースが見受けられる。しかし、多くの海外企業ではアグレッシブな節税策を考えることがCFOのミッションのひとつとなっているケースもあり、過度な税務ポジションを取っていることも珍しくない。よって、案件の検討段階から買い手・売り手にどのような税務メリット・デメリットが生じるのか、しっかりと検証する必要がある。
2018年7月13日