2019年11月1日
働き方と人事
幹事役の魅力
西田 政之
ライフネット生命保険株式会社 取締役副社長兼最高人事責任者(CHRO)
株式会社スポーツワン 取締役
Happy Elements Asia Pacific株式会社 顧問
ビジネスパーソンに不可欠と言われる「人脈」ってどうやって作ればよいのか。私がお勧めするのは、とにかく積極的に“幹事役を引き受ける”ということだ。
私が50歳を迎える時だった。
突然、元上司である前職の社長から「○月○日の夜、空いてる?」というお誘いを受けた。二つ返事で承諾して、当日待ち合わせ場所の帝国ホテルのラウンジに赴いた。なぜか二人でクリームソーダを飲みながら元上司が切り出したのは、ご自身の離婚の話だった。驚く間もなく、続きはご飯でも食べながら、ということになり、近くのお店を予約しているという元上司の後をついていくと、そこは私がよく利用している「十勝屋」というお店だった。上司に促されてドアを開いて中へ入り、何だかいつもと様子が違うかな?と思った瞬間だった。一斉にクラッカーが鳴り響き、拍手と歓声に包まれた。狐につままれたように、ぽかっと口を空けて周囲を見渡すと、そこには見慣れた仲間の他に、えっ!と仰天するような重鎮の方々の顔が見える。
それは私の50歳の誕生日をお祝いするサプライズパーティーだった。言葉を失った。どうして私ごときのために、こんなにたくさんの仲間が満面の笑顔で集まっているのだろう。どうしてこんなに凄い方々までいらして下さっているのだろう。頭の中がぐるぐるしている状態が見た目には鳩が豆鉄砲を食らったように見えたらしく、今でもその時の写真を持ち出されては笑いのネタされている。それはともかく、誘導役の元上司のリアルな仕込みといい、パーティー自体はかなり周到に準備されたもので、この場では語りきれないくらいのサプライズが盛り込まれていた。今でもその時のことを思うと胸が熱くなる。
このサプライズパーティーを企てて下さった皆さん全てが、正にこの上ない人脈だった。
2019年11月1日