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2024年12月16日 

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グローバル・コミュニケーション

家庭内言語政策のすすめ

猿橋 順子

青山学院大学国際政治経済学部教授
多文化関係学会理事

多文化家族の言語政策

 「家庭内言語政策」というと、大仰だという印象をもつかもしれないが、言語政策研究では「Family Language Policy(FLP)」という、れっきとした1つの研究分野となっている。とりわけ、国際結婚夫婦や移動を経験する多文化家族にとって、家庭内の言語をどうするかは大事な決定事項となる。その場合、家族のメンバーが互いに何語で話すかといったことにとどまらない。何語の新聞を購読するか、何語のテレビ番組を見るか、映画を何語で観るかに始まり、もし子どもがいれば、学校はどこに通わせるかが重要事項となり、それは塾通いや習い事にもかかわってくる。

 海外生活での学校選択は、何語〈で〉教える学校かということと、何語〈を〉教える学校かを併せて勘案することになる。例えば、日本人家族が海外生活をすることになり、子どもを現地校やインターナショナルスクールに通わせることにした場合、週末を利用して、日本の学校での学習内容を日本語で教えてくれる、いわゆる補習校に通わせるかどうかが懸案となる。補習校が近くになければ、通信教育を検討することになるかもしれないし、親どうしが協力し合って、家庭を拠点とした学習(home schooling)が計画されるかもしれない。そのような中で、当の子どもが「週末はサッカークラブに参加したい」と希望したら、補習校と両立させるのか、どちらかを選択するのかは、本人を中心に家族で話し合って決めなくてはならない。このように、国際結婚や海外移住家族については、当事者でなくとも「家庭内言語政策」の重要性について想像しやすいことだろう。

2024年12月16日

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