2019年6月17日
事例に学ぶデジタル活用の処方箋(第二回)
デジタル時代のCFOおよびファイナンス組織
─組織・プロセス・ルール・IT四位一体の
デジタルトランスフォーメーション─
中野 浩志
SAPジャパン株式会社
早稲田大学大学院非常勤講師 日本CFO協会主任研究員
米国公認会計士 公認情報システム監査人
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)によって産業構造が大きく変わろうとしている中、CFOおよびファイナンス部門はどのような役割を果たすべきであろうか。デジタル時代においても会社のビジネスリスク・リターンをコントロールして企業価値の最大化に貢献することがCFOおよびファイナンス部門の主要な役割であることは変わらない。一方、新しいテクノロジーが全く新しいビジネスを生み出し、既存ビジネスの前提が一夜にして覆されて新たなルールで競争を行わざるを得ない時代においては、事業環境変化に応じて事業ポートフォリオ・機能ポートフォリオの切り替えを臨機応変に推進する役割とそのインフラ整備が求められる。また、既存事業を深掘りしていく「深化」と新しい市場・技術を探求する「探索」を両立する組織・ルール作りも不可欠だ。当然財務数値の正確性やコンプライアンスは今まで通り要求される。これまでと同じやり方ではとても手が回らないし間に合わない。そのため、活用できるデジタルテクノロジーは積極的に取り入れ、ファイナンス部門としてあるべき姿とロードマップを描いて変革を推進していくことが重要な役割となってきているといえよう。
2019年6月17日