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神話の創造による成長戦略

森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長

 死期の迫った農夫は、のらくら息子たちに「自分の葡萄畑に宝物を隠してある」と言って死んだ。息子たちは畑を隅から隅まで掘り返したが、宝物は見つからなかった。その代わりに葡萄がよく実った。

 これは、イソップの「農夫と息子たち」という有名な寓話である。この話、人間にとって苦労こそが宝物だという通俗的な寓意を超えて、哲学的に深遠な意味をもつ。

 原点における農夫の嘘は、息子たちにとっては疑う余地のない歴史的真実だったのであり、そこには、嘘を真実として通用せしめるだけの父親の権威があったのである。この嘘の構図は、どの民族の起源にも必ず神話があり伝承があって、多くは荒唐無稽な内容であるにしても、民族の成員は程度の差こそあれ神話を信じているのと同じである。逆に、神話が歴史の起源として権威をもつ範囲こそ、民族にほかならないのである。ちょうど、農夫の嘘を信じたからこそ農夫の息子であったように。

原初における嘘の機能

2018年2月15日

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