2023年3月1日
HR × Finance
第8回 人件費はコストなのか投資なのか?
清水 孝
早稲田大学大学院会計研究科 教授
人件費は、労働に対する対価として支払われるものであり、企業会計上は費用として計上されている。したがって、業績不振の際には、人件費を削減することによって短期的には赤字幅を縮小したり、利益を増加することができる。ここでは、人件費として労働の直接の対価である給与・賞与だけではなく、法定福利費、退職給付費用、人材採用・教育・研修等に要する費用も含めて考えることにする。一般的に、人件費という用語から思い浮かべるものは、給与・賞与であろうが、退職給付費用は給与の後払いという考え方によれば、まさしく給与そのものであるし、健康保険料や厚生年金・介護保険料なども、従業員を雇用することによって必然的に発生する費用であり、これらを加えて考えることが不可欠である。さらに、従業員を採用し、教育し、戦略実行のために必要なスキルや知識を習得するために要する費用も人材を有効に活用するためには必要となるので、人件費として認識することにする。
2023年3月1日