2019年9月2日
マネジメント・アイ
20年後のビジョンと戦略を
社員に語れますか?
泉本 保彦
株式会社日仏経済戦略研究所
代表取締役社長
izumimoto@i-es-fj.com
1960年12月、池田勇人首相が発表した「所得倍増」を柱とする経済政策が閣議で正式決定された。1961年からの10年間で国民総生産を2倍以上に引き上げる、つまり所得倍増という、わかりやすい目標を掲げて国民を引き付けたのである。そして、驚くべきことに、目標は7年で前倒し達成された*1。これは夢と数値目標両方を示した明快なビジョンと言える。今はどうか。Yuval Noah Harariは著書Homo Deusの中で語る。「今やテクノロジーは急速に進歩しており、議会も独裁者も到底処理が追いつかないデータに圧倒されている。まさにそのために、今日の政治家は一世紀前の先人よりも遥かに小さなスケールで物事を考えている。結果として、21世紀初頭の政治は壮大なビジョンを失っている。政府は単なる管理者になった。国を管理するが、もう導きはしない。*2」
2019年9月2日