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2016年3月1日 

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パネリスト(ご氏名50音順)

石村 和彦 氏

石村 和彦

旭硝子株式会社
代表取締役会長

藤塚 主夫 氏

藤塚 主夫

株式会社小松製作所
取締役 専務執行役員 CFO

吉田 憲一郎 氏

吉田 憲一郎

いちごアセットマネジメント株式会社
副社長 パートナー

モデレータ

藤田 純孝

藤田 純孝

一般社団法人日本CFO協会
理事長

そもそもCFOの役割とは何か?

藤田 昨今、日本企業のコーポレートガバナンス改革が急速に進展する中、ガバナンスコードが打ち出している五つの基本原則の求める方向性は、すべてCFOに求められる役割に関連しています。その意味でCFOの役割がますます重要になる一方で、日本企業ではCFOというポジションは種々の役割を持つ職名で運営されており、明示的な職として定着していない側面もあるように思います。
 ここでは、まず原点に立ち返って、CFOの基本的な役割・機能について再確認することから始めたいと思います。

CEOはCFOに何を期待するか?

藤田 CEOの視点から、旭硝子の石村さんいかがでしょうか。

石村 当社は親会社、子会社の枠を越えたAGCグループ全体としての経営を前提としたうえで、監査役会設置会社として経営監視機能と経営執行機能を明確に分離しています。また、経営執行機能の中も、コーポレート機能と事業執行機能とを明確に分離しております。この2点が当社のコーポレートガバナンス体制の基本的な考え方です。
 経営監視機能の中核を担う取締役会は、社外取締役3名を含む7名で構成しています。社外取締役3名と会長である私の計4名の非執行取締役が、取締役会の過半数を占めています。
 執行側は、社長執行役員(CEO)と常務執行役員の2名(CFO、CTO)が取締役会のメンバーです。CEO、CFO、CTOは、社外取締役やその背景にあるマーケットの主体である株主の皆様に対して説明責任を有しています。同時に事業部門に対しては、事業のモニタリングやAGCグループ全体最適の実現、全体としての企業価値の最大化という任務を担っています。
 経営執行の面では、2002年からカンパニー制を導入し、グループ全体の企業価値の最大化を担うグループコーポレート機能と、各事業の事業価値の最大化を目指していく事業部門とに分離をしています。このようなコーポレートガバナンス体制の中で、CFOの基本的な機能・役割について、お話ししたいと思います。
 私は2014年までCEOを務めておりましたが、米国企業と日本企業では、CEOとCFOに期待される役割の傾向に違いがあると思います。
 米国企業のCEOは株主価値の最大化に向けた事業ポートフォリオの入れ替えが重要な役割の一つとなっており、CEOを支えるCFOも経営資源の配分や事業ポートフォリオ、M&Aの立案などが主な役割になっています。一方、旭硝子を含む日本企業の多くでは、CEOにはいわゆる社長として本業の切り盛りが求められます。日本企業の社長は、言わば米国企業のCOOの役割を期待されることが多く、その社長を経理・財務面から支えるCFOには「スーパー経理部長」のような役割が求められると思います。
 しかし、2015年6月のコーポレートガバナンスコード適用後はこの傾向が変わってきています。日本の経営者も、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、事業ポートフォリオの入れ替えやM&Aを含む戦略の策定や遂行がCEOの重要な役割になってくると考えており、自ずとCFOの役割も変わってきています。
 一つは、単なるスーパー経理部長としてではなく、大きな事業戦略やポートフォリオの入れ替えをCEOとともに考え、企業価値向上に向けてともに活動する、そうしたCFOをCEOは期待していると私は思います。
 もう一つは、CEOの暴走を牽制したり、財務的な視点からCEOに提言し、場合によってはブレーキを掛ける。そうした役割もCFOには期待しています。

藤田 ありがとうございました。旭硝子の特色として、経営の執行と監督の分離を強く意識されていることと、執行面でコーポレート機能と事業執行機能の分離も意識してやっておられると理解いたしました。CFOに対して「スーパー経理部長」ではないものを、今回のコーポレートガバナンス改革は求めている、という理解でよろしいでしょうか。

石村 そのとおりです。当社はCEOとCFOとCTOが執行を兼ねる取締役としてボードメンバーに入っています。CFOもボードメンバーであることが大きなポイントであると思っています。

藤田 日本の多くの企業では、事業執行の方も取締役を兼ねておられるケースが多いと思います。その点についてご意見がございましたら。

石村 当社の場合は、複数の事業を展開しています。その中で一部の事業部門のトップがボードメンバーであったとすると、他の事業の大きな投資案件が出てきたときに、自分の事業とのコンフリクトが起こる可能性があると考えています。自分の事業が大きな投資をしようとしたときに、自らがボードメンバーに入って、それを承認していくのもガバナンス上おかしいのではないかと。そういう意味で、事業執行のトップはボードからは外して、はっきりと機能分離しているということです。

藤田 よく分かりました。ありがとうございました。

2016年3月1日

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