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2025年9月16日 

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企業価値創造経営の本質(第52回)
事業ポートフォリオ・マネジメントについて
考える(第24回)

手島 直樹

小樽商科大学大学院 商学研究科 教授

事業分割へのハードルは依然として高い

 前回の連載では、事業分割の3つのアプローチを紹介した。それぞれのアプローチが企業価値の向上に資することを確認したが、企業の事業分割に対するハードルが依然として高いのも事実である。実際、グローバル企業の調査によると、分割のタイミングが遅すぎたと回答する企業が7割を超えているほどである。

 なぜタイミングが遅れるのか。米国における調査によると、「高値で売却するタイミングを待つ」「事業分離の難しさ」「分割への抵抗感」「事業分割の優先順位の低さ」「利益の減少」などが主な原因となっている。一方、日本においては事業撤退・売却を行う上での課題として、「基準が不明確」「社内での検討プロセスが明確でない」「企業規模・売上規模が縮小することへの抵抗感」などの要因が挙げられている。これらの中で、特に企業規模・売上規模の縮小への抵抗感の大きさに関しては、経営者の意識の変化が求められる部分だ。経営者は規模を財務数値ではなく企業価値で捉える必要がある。従来型の規模の捉え方では、赤字にならない限り事業は利益に貢献するため、事業分割に抵抗感を感じてしまうのだろうが、赤字か否かではなく、事業のROICが事業別WACCを上回るか否かが事業存続の主たる判断基準であるべきなのだ。

2025年9月16日

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