2025年8月20日

米国弁護士 秋山の視点
きれいごとでは済まされないダイバーシティ
―文化的寛容の限界と日本社会の選択―
秋山 武夫
ニューヨーク州弁護士
はじめに
日本では、少子高齢化や人口減少による労働力不足への対応として、外国人の受け入れが進んでいる。技能実習制度や特定技能制度を通じて、ベトナム、フィリピン、ネパール、インドネシアなどからの外国人が地方部にも定住しつつあり、一部地域では外国人住民の比率が急速に高まりつつある。
その結果として、文化的摩擦や治安への不安を訴える声も散見されるようになった。ゴミの分別、公共空間での静けさ、相互配慮など、これまで日本社会で自然に共有されてきた価値が損なわれているとの指摘もある。他方で、国際社会からは、外国人受け入れに消極的な日本政府の姿勢に対し、「閉鎖的」「排他的」「非リベラル」といった批判が寄せられている。
本稿では、「ダイバーシティ(多様性)」という理念に立ち返り、多様性の先進国であるアメリカの現状を素材として、筆者の半世紀にわたるアメリカでの経験をもとに、日本社会の進路を考察してみたい。
2025年8月20日




