2025年1月20日
米国弁護士 秋山の視点
日本製鉄のUS Steel買収について
※(編集部注)本稿は2025年1月15日時点に執筆されたものを掲載しています。
秋山 武夫
ニューヨーク州弁護士
今までの経緯
1980年代、日本企業による米国企業の買収が急増し、米国国内での安全保障上の懸念(例えば富士通によるフェアチャイルド半導体の買収)が高まった。このような背景から、エクソンフロリオ条項(Exon-Florio Amendment)により対米外国投資委員会(CFIUS)の権限が大幅に強化され、外国投資の審査、分析を行う中心的な機関となった。同時に、国家安全保障上の観点から外国投資をブロックする権限が大統領に与えられていた。
例えばシンガポールを拠点とするBroadcomが米国の半導体企業であるQualcommを買収しようとした際には、CFIUSはこの取引が米国の5G技術のリーダーシップを脅かす可能性があると判断し、2018年に大統領が取引を阻止している。
2025年1月20日