2024年10月15日
ヒトでなしの顧客に
モノを売ってどうする
森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
どの事業においても、原点においては、顧客ではなくて、顧客の需要、即ち顧客の求めるものだけが問題だったはずである。しかし、顧客の求めるものは多種多様だから、それに応じて供給業者の専門性が生じ、ひとたび専門性が生じれば、そこに技術的革新が生じ、質的にも量的にも高められた供給能力は新たな顧客を求めざるを得なくなり、そのときから顧客が問題になったのである。つまり、モノが確立したときに、顧客が生まれたのである。
こうして、事業活動とは、あるモノについて、新たな顧客の需要を開発することとなり、それにより経済は成長してきたわけだが、顧客の需要が増大すればするほど、限界的な需要の増分は小さくなり、経済が成長すればするほど、限界的な成長率は低下していかざるを得ず、経済の成熟の果てに、成長率がゼロに限りなく接近してくれば、それまでのモノを軸にした成長のあり方は崩壊せざるを得なくなって、全く異なる原理が求められてくるわけである。
2024年10月15日