2024年8月20日
グローバル・コミュニケーション
「サヨナナンタラ」
猿橋 順子
青山学院大学国際政治経済学部教授
多文化関係学会理事
Eri Liaoという女性シンガーがいる。1970年代末、台湾の原住民族であるタイヤル族の母と、日本人の父の間に、台北で生まれた。小学校2年生のとき日本に移住し、大学まで日本で教育を受けた。その後、アメリカNYに留学。ジャズの世界に飛び込み、そこからルーツである台湾原住民族の音楽をうたう道が開かれていった。現在は、日本と台湾の間を行き来しながら、台湾原住民族の楽曲に加え、さまざまな言語の歌をうたい、言語圏をまたいで暮らしてきた人ならではの感性と、ことば選びが光る楽曲づくりにも取り組んでいる。
Eriさんの歌声との出会い
私がEriさんの歌声を初めて聴いたのは、今から8年前、2016年7月30日、31日、2日間にわたって代々木公園で開催された第1回台湾フェスタでのことだった。初日の昼下がり、太陽がじりじりと照りつける野外ステージ下の観客席で、偶然、Eriさんがうたう台湾原住民族の楽曲を聴いた。台湾原住民族の音楽に触れたのが、私にはそのときが初めてのことだった。
2024年8月20日