2015年6月15日
労働法のコンプライアンス
高谷 知佐子
弁護士
森・濱田松本法律事務所 パートナー
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かつて、道路交通法と並んで「守られない法律」として認識されていた労働基準法であるが、ブラック企業問題が国会で取り上げられるなど、昨今、労働基準法をはじめとする労働関連法の遵守が企業に強く求められている。以下では、労働関連法をめぐる企業の意識の変化、労働関連法の最近の動向、違反に伴うリスクと今後の留意点についてみていきたい。
労働関連法を巡る企業の意識の変化
~労働法コンプライアンス意識の高まり~
労働基準法を中心とする労働関連法は、従業員を雇用する全ての企業に適用される法律であり、企業はその遵守を求められている。労働基準法の違反に対しては、労働基準監督署などによる是正勧告・指導や企業名の公表にとどまらず、刑事罰が予定されている場合もある。ところが、労働関連法の違反に対する企業の危機意識は、これまで決して高いとは言えなかった。サービス残業の蔓延や過重労働の放置などがその例である。
しかし、昨今、従業員の使い捨て的な働かせ方が「ブラック企業」として厳しい非難に晒されたり、過重労働による過労死の責任を企業のみならずその役員にも厳しく追及するといった例が増え、企業における労働法コンプライアンス意識はかつてないほど高まっている。
2015年6月15日