2022年2月15日
管理会計というと、とかくマネジメントツールの話(プロセス・ファクター)になりがちだ。だが、こうした有用なツールは、扱い方を間違えると非常に煩わしいものになる。カギを握るのは、人々の物の考え方、行動様式といった「ヒューマン・ファクター」の介在だ。本日は、管理会計に不可欠なこの2つの側面について、簡単な解説を試みたい。
管理会計とは何か
財務会計と異なる「管理会計」の本質は何だろう。「人を動かす学問ということだ」――二十数年前、中村輝夫氏(元 日本化薬株式会社社長)は私にそう語った。それまで最先端のツールの研究に没頭していた私は、この言葉に導かれ、管理会計における人的要素の研究に歩を進めることとなった。
米国管理会計士協会(IMA)の定義によれば、管理会計士とは「組織内で働くファイナンスの専門家にして会計の専門家」であり、「経営上の意思決定におけるビジネスパートナー」の役割を担う(CFOはCEOに対し、また、本社経理社員は事業部長や工場長に対し、そうしたパートナーとなる)。財務報告・内部統制において専門性を発揮するとともに、組織戦略の策定・実行に向けて人を動かしていく。一言でいえば、専門家、パートナー、リーダーを兼ねた存在なのだ。
2022年2月15日