2020年12月15日
グローバル・コミュニケーション
Withコロナの企業コミュニケーション
本名 信行
青山学院大学名誉教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会代表理事
猿橋 順子
青山学院大学教授
一般社団法人グローバル・ビジネスコミュニケーション協会理事
はじめに
2020年2月の新型コロナウイルス感染症の拡大以来、人々の働き方は大きく変わった。リモートワーク、時差出勤、マスクの常時着用、会食の自粛などである。かねてより、業務のIT化が進められていた企業に勤める人の中には、「コロナ禍の前後で働き方はさほど変わらない」という人もいる。しかし、多くのビジネスパーソンにとってはコロナ以降、働き方が変わり、それによって対人関係にも変化が生じている。それは同僚や上司・部下との社内コミュニケーションから、取引先、顧客との社外コミュニケーションにもおよぶ。日常的には、ランチタイムに誰とどこでどう過ごすかといった私的なことから、株主総会をどう開催するか、マーケティング戦略をどう見直すかといった全社的なことまで、広く影響を与えている。
Withコロナの行動様式
目下、コロナ禍にあって、従来とは異なる行動様式が求められている。人々は集まることや寄り添うことを当たり前の社会行動としてきた。人をどう集めるかはマーケティング・プロモーションの至上命題であった。それ以前に、共通の目標を成し遂げるのに、集まりをもって始まり、集まりをもって終えるのは至極当然のことであった。小学校の「朝の会」と「帰りの会」、部活動の最初と最後に顧問の先生やキャプテンからかけられる「集合!」のかけ声がもたらす規律は、多くの人の感覚に染みついているだろう。これらは日常化され、行動様式としてほぼ自動制御されている。判断の余地を差し挟まないほどに当然視されている。文化とは、こうした行動様式のセットなのである。
2020年12月15日