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2020年6月15日 

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エッセンシャルズ

イノベーションと社会的価値
第2回 サステナビリティ経営(1)

昆 政彦

スリーエム ジャパン株式会社 代表取締役社長
一般社団法人日本CFO協会 理事

プライベートとパブリック概念

 社会にはプライベートとパブリックの概念があり、一方で、所有と存在の概念がある。もう少しわかりやすく説明すると、企業や個人はプライベートの範疇であり、それぞれの規範で活動している。また、プライベートは、所有概念の下で組み立てられる世界で、資産などはそれぞれの企業や個人が所有する形をとる。パブリックとは、社会そのものであり、誰かが所有するのではなく、存在を基軸概念にしている。公共インフラや海洋などは、誰かに所有されていない限りそこに存在しているだけなので、プライベートの企業や個人は、それを使用することができる。欧米では特定の個人よりも社会全体のフレームで物事を見ることが多いが、日本ではパブリックの概念が弱く、プライベートとパブリックの境目が曖昧なのが特徴である。サステナビリティ経営とは、プライベートである企業がその活動目的をパブリックの概念まで広げることを意味する。したがって、各企業の活動の範囲を超えて責任を持つことと各企業が所有している経営資産のみならず、社会に存在している資源、自然資源や社員以外の市民への影響も責任範囲に入ってくる。

2020年6月15日

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