2020年8月20日
SDGsとESGに潜む欺瞞
森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
国連のSDGs(Sustainable Development Goals)、即ち、持続可能な開発目標は、国家の枠を超えた普遍的なものとされ、各国政府の主体的関与は当然のこととして、企業の積極的な関与も期待されている。そして、実際に多くの企業が主体的関与を表明しているが、それは、企業の論理としてそのほうが利益になるからであって、SDGsは企業の利益誘因に基づく合理的経営行動を予定したものだと考えられる。
つまり、SDGsは人道的なものというよりも、福祉国家政策と同じことで、所得の再配分によって極端な格差を是正し、武力紛争をなくして経済活動を活性化させ、生存環境を安定させて事業の予測可能性を高めることにより、世界経済全体の均衡がとれた安定的で持続可能性の高い成長を実現するものとして、企業の長期的な利益に貢献すると期待されているのである。
2020年8月20日