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2016年4月15日 

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 会計の世界において、メディアでは不正会計やIT化による会計事務職の減少などネガティブな話題も目につくが、IoTという言葉に象徴される“社会の変化”は、経営者のマネジメントスタイルに変化をもたらし、さらにはバックエンドである会計の世界も着実に変えていくのではないかと考えられる。そこで当コーナーでは、企業会計や経営管理の基盤を支えている最先端のプレイヤーの方々をゲストとして迎え、IoTの時代に会計や経営管理の仕組みはどのように変わるのか、変わるべきなのか、将来を見据えたお話を伺っていく。

 第1回は、スマートフォンによる経費精算のソリューションを提供する株式会社コンカーの代表取締役社長三村真宗氏をお迎えした。

(インタビュー・執筆:日本CFO協会主任研究委員 櫻田修一)

経費精算システムの効率化

櫻田 昨年あたりから、システムによる自動化にさらにAIが入って、公認会計士をはじめとした会計に携わる職業が将来必要なくなるのでは、という記事を見かけるようになりました。コンカーさんは会計に関するソリューションを提供する企業としてフロントエンドにいらっしゃるので、「会計の将来は、コンカーさんのようなビジネスをやっている視点からすると、こうなるのではないか?」とか、「こんなことを考えなきゃいけないのでは?」という情報発信をいただけますでしょうか。

三村 コンカーはシアトルに本社を置く米国の企業で、創業は1993年です。経費精算の分野から発祥しているため、日本では経費精算クラウドという認知が高いと思いますが、経費精算の他にもベンダー請求管理や出張管理など、間接費全般を扱うクラウドサービスを手掛けています。

 経費精算の分野では、日本では従来手作りで開発している企業が多かったわけですが、当社の例でいえば、海外ではフォーチュン500の61%の企業がコンカーを採用しています。日本でもクラウドサービスに対するアレルギーも薄くなってきた結果、だいぶ普及が進み、いま自社で経費精算の仕組みを開発する企業は大手だとほとんどないと思います。日本国内での利用企業数は、現在550社まで達し、マーケットシェアでいうと53%です。

櫻田 10年ぐらい前には、経費精算はWeb系の入力やワークフローと言われている承認プロセスの自動化が流行っていたと思うのですが、それと大きく違う点はどのようなところですか。

三村 今までのワークフローの経費精算ツールは、ある種の手続きを履行するだけのシステムであって、ソリューションの味付けは全くなかったと思います。コンカーに関しては、ワークフローは当然ですが、大きく3つの観点があります。1つが従業員の省力化、2つ目がガバナンスの強化、3つ目が可視化です。この3つの軸を加えることによって、経費精算について単なる手続きの履行ツールから、より経営に対してインパクトを与えるような分野に変わってきたと思います。

 省力化という観点で見ると、全ての従業員が使っている業務システムは2つで、1つがメール、もう1つが経費精算だと思います。「毎月の仕事でいちばん面倒臭くて嫌な仕事は?」と聞くと、ほとんどの人は経費精算と答えると思います。最も嫌な仕事だと思います。従業員の生産性が下がっているということは、財務的なダメージも起きているということです。しかし、この分野に対して今まで有効な施策は打てていなかったと思います。経費精算をしないとお金が戻ってこないので、非効率であろうが従業員は従わざるを得ないという状況に企業が甘えていたこともありますが、具体的に経費精算を省力化するためにどのようなテクノロジーが必要なのかということもはっきりと分からず、なおざりにされていました。

 コンカーが光を当てたのは2つのアプローチです。1つ目が手入力をさせず、経費を使ったら、そのデータを自動的にシステムに反映・集約されるようにする、経費精算の全自動化です。もう1つがモバイルの活用で、経費精算のような間接業務中の間接業務は、オフィスにいないスキマ時間を使って済ませましょうという発想です。

 経費精算の全自動化という観点からいえば、とにかく経費を使ったらそのデータをシステムに取り込む仕組みを用意しています。例えば交通費だと、おそらく櫻田さんもスケジュール帳をひっくり返しながら、何処へ行ったというメモ書きを頼りに路線検索をして、運賃を調べて、それを経費精算の仕組みに入力してレポートを作っていると思いますが、考えてみると、皆さんSuicaかPASMOを使っています。いつ、どの路線にどの駅で乗って、どの駅で降りて、いくらかかったかという情報は、SuicaやPASMOの中に全部デジタル情報として入っています。にもかかわらず手帳から再度手打ちしているというのは非常に二度手間で非効率です。このSuicaやPASMOからデータを自動的に連動させるような仕組みを提供しているわけです。

 それ以外にも一般的な経費、例えば接待をしたり宿泊でホテルに泊まったり、あるいは何か備品を買ったり、そのようなときは、基本的には現金精算をやめてコーポレートカードを使ってくださいとお願いしています。コーポレートカードを使えば、使った日付、場所、金額がデジタルに捉えられます。コンカーはカード会社と提携しており、カード会社からまとめてデータを取り込みます。個人でカードを利用した場合、利用明細は3週間ぐらいすると送られてきますが、弊社のシステムでは3日ぐらいでコンカーに入ってきます。基本的には手入力ゼロを目指しています。とはいえ、何のために使ったのかという情報は手入力しなければいけないのですが、その場合でもオフィスで入力するのはやめて、スキマ時間にモバイルで入力してそのまま精算に回せるようにしています。承認も、モバイルを活用することによって、自分の手元でインボックスを開けて承認ができる。出先でも承認できるので効率的です。

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2016年4月15日

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